朝顔

昨日入谷の朝顔市で朝顔を買ってきました。
昼過ぎにはうちに帰り、朝顔を外に置こうとしたら見知らぬ小さな苗が落ちていました。
うちは一階で、裏には庭のような駐車場のような空間があるのです。隣家と敷居が無いので、ほんとに謎の空間なのですが。
「？」
姉のかしらと思いつつ気にせず朝顔を隣に置く。

昨日は風が強くて、ある時とりわけ強く吹き、ばったーん！という音がして裏に出てみると朝顔がさっそく倒れている！
土が漏れてぎゃーんとなりました。
ばったーん！という音はよその物干し竿が落ちてきたらしい。兄が、
「なんだこれ、どこからきんだ！？」
と言っているのですが、朝顔で悲しくなったいる私は
「ゴトウさんでしょ」
と適当に返事をしました。

そのあと部屋に引っ込んでからゴトウさんと思しき女性が竿を取っていました。ほーら、やっぱりゴトウさんだ。
裏の空間は下の階の住人の庭というわけではないので二階の人も自由に出入りします。つってもゴトウさんしか入ってきませんが。
ゴトウさんは我が家のアイドルであり、上の階の人です。私の部屋の真上がゴトウさん。
愛すべき上の階の人、ゴトウさん。

帰ってきた姉が第一声、
「今ゴトウさん躍ってたけど、うるさくない？」
「ゴトウさん躍ってたの！？」
「躍ってたよ…」
ゴトウさんはいつも部屋が外から丸見えなのです。私も音楽がんがんかけていたので気付きませんでしたが、ゴトウさんの部屋の音はいつでも筒抜けです。

「朝顔買ってきたんだねー」
「うんそーなの」
「このちっさい苗は？」
「……お姉さんのじゃないの？」
「知らないよ」
「……」
「ゴトウさんのかもね」
「そうかもね。さっき竿落ちてきたし」
「…竿！」

そんなこんなでゴトウさんは我が家のアイドルです。